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ビットコインのマイニングがビジネスとしても、大きな注目を浴びています。
2017年9月には、GMOやDMMといった、大手インターネット企業が、仮想通貨のマイニング事業に参入を発表して話題になりました。
「ビットコインのマイニング方法ってどんなものがあるの?」
「ビットコインのマイニングって本当に稼げるの…?」
ビットコインのマイニング方法について、興味をもっている方向けに、ビットコインの3種類のマイニング方法と、それぞれのメリット・デメリットを詳しくご説明いたします。
ビットコインのマイニングとは、ビットコインの取引データを、取引帳簿である、ブロックチェーンに追記する作業を指します。
この作業には、コンピューターの計算能力が必要です。
ただ、ビットコインは、管理主体がいないため、有志のコンピューターリソースを借りて、計算作業を行ないます。
有志は、この帳簿への追記作業と引き換えに、新規に発行されるビットコインを手にします。
作業と引き換えに、新規に発行されたビットコインを手に入れる様子や、埋蔵量が限られていることが、金の採掘に似ていることから、「マイニング(採掘)」と呼ばれているのです。
では、ビットコインのマイニングは、具体的にはどのような方法で行われているのでしょうか?
ビットコインのマイニングには、大きく分けて3つの方法があります。
- ソロマイニング
- プールマイニング
- クラウドマイニング
それぞれの方法に、メリットとデメリットがあります。 3つの方法を、ひとつずつ詳しくみていきましょう。
ソロマイニングとは、自分でマイニング用の機材等を準備して、単独でビットコインをマイニングする方法です。
マイニングの難易度が上がり、現在では成功確率がかなり低くなってしまったものの、ビットコインの誕生初期のマイニングは、ほとんどがソロマイニングでした。
以下が、ソロマイニングのメリットとデメリットです。
- マイニング報酬をすべて自分のものにできる
ソロマイニングのメリットとして、マイニング報酬を総取りできる方法である点が挙げられます。
ビットコインのマイニング報酬は現在2017年12月7日現在、12.5BTC(ビットコインの単位)です。
つまり、1BTCが130万円の場合、1,625万円がマイニングの報酬です*。
もし、マイニングに成功すれば、この報酬がすべて自分のものになります。
*2017年12月4日時点のBTC価格を参考にしています。
- マイニング成功の確率が低い
- 初期の設備投資がかかる
- 電気代がかかる
①マイニングの成功確率が低い
ビットコインのマイニングは、元々はソロマイニングが主な方法でした。
しかし、後述するマイニングプールといった、協力してマイニングしようとする人々が現れたため、単独でビットコインをマイニングする方法は、現実的ではなくなっています。
②初期の設備投資がかかる
ビットコインのソロマイニングをはじめるだけなら、設備投資はそれほど必要ありません。
しかし、少しでも収益を上げようとすると、ASICと呼ばれるマイニングツールや、メモリの増設等が必要になります。
③電気代がかかる
また、マイニングを行っている間は電気代もかかります。
マイニングの報酬がほとんど得られず、電気代でむしろ赤字になってしまうケースも多いようです。
- マイニングソフトのダウンロード
- マイニング機材の準備
- その他メモリの増設、電源ユニットへの投資
①マイニングソフトのダウンロード
マイニングをはじめるには、マイニングソフトといわれるソフトウェアが必要です。
初心者向けのマイニングソフトとして有名なものに、MinerGateがあります。
MinerGateはフリーでダウンロードできるソフトで、マイニングするコインを設定するだけでマイニング可能です。 シンプルで操作しやすく、わかりやすい画面のため、特にマイニング初心者にはおすすめできます。
②マイニング機材の準備
また、メモリの容量が少ないと動作が不安定になるおそれがあるので、メモリの容量は2桁まで増設した方がよさそうです。
さらに、電源ユニットと呼ばれる、コンセントの電気をパソコンの電気に変換することができるパーツにも投資が必要です。
③その他メモリの増設、電源ユニットへの投資
ビットコインのマイニングをするには、現在、一般向けコンピュータのCPUの計算能力では、かなり成功確率が低いといわれています。
特定の目的ために、開発される集積回路を、ASIC(エイシック)と呼びます。
現在は、ビットコインマイニング専用に開発されたASICが最も、マイニングに適しているとされています。
また、メモリの容量が少ないと動作が不安定になる恐れがあるので、メモリの容量は2桁まで増設した方がよさそうです。
さらに、電源ユニットと呼ばれる、コンセントの電気をパソコンの電気に変換することができるパーツにも投資が必要です。
ただ、先述の通り、ソロマイニングは成功確率が低い方法のため、これらの投資をしたとしても、回収できる見込みは低いのが現状です。
もし、ビットコインのマイニングで収益を上げたいのであれば、他の2つの選択肢、つまり「プールマイニング」や「クラウドマイニング」をおすすめします。
プールマイニングとは、複数の人(コンピュータ)でコミュニティを形成し、協力してマイニングする方法です。
また、マイニングのために構築されたコミュニティのことを「マイニングプール」と呼びます。
マイニング報酬として受け取れる仮想通貨は、マイニングプールのみんなで山分けします。
ただし、平等に分けられるとは限りません。
マイニング作業全体のうち、どれぐらいの割合で自分のコンピュータが関わったのか、その「貢献度」によって、報酬の分け前が決まるからです。
よって、できるだけ性能がよく、処理速度に余裕があるPCで参加したほうが、受け取れる報酬が増える可能性が高くなります。
- ソロマイニングよりも、マイニングの成功確率が高い
- 事前準備や先行投資を抑えられる
①ソロマイニングよりも、マイニングの成功確率が高い
マイニングの作業とは、短時間に、膨大な量の、計算問題を課されているようなものです。
複数のコンピュータが協力すれば、各コンピュータが計算すべき量は少なくなります。
すると、正解にたどり着くまでの時間が短縮され、ソロマイニングよりもマイニングが成功する確率は高い方法だといえるのです。
②ソロマイニングよりも、収益化しやすい
プールマイニングでは、コミュニティ内のコンピュータリソースを合わせてマイニングすることができます。
そのため、ソロマイニングと比較すると、収益化までの、初期投資やマイニングのための準備が少なくて済みます。
- スペックの高くないPCだと、CPU使用率が高くなる
- 電気代がかかる
①スペックの低いPCでは、CPU使用率が高くなる
通常にオフィスで使用しているPCなどでは、CPU使用率が高くなってしまう可能性があります。
CPU使用率が高いと、他のソフトの動作が重くなってしまうため、普段使用するオフィス用などのPCを、マイニングに使用することは現実的ではないかもしれません。
②電気代がかかる
ソロマイニング同様に、自分のPCを使用してマイニングしているため、電気代はかかってしまいます。
上の図は、2017年12月10日時点の、ビットコインの各マイニングプールのシェアを示してします。
Antpool
上の図に占める割合が一番大きいのが、中国にある世界最大級のマイニングプール、「Antpool」です。
ビットコインの他、メジャーどころのアルトコインのマイニングに対応しています。
Antpoolを運営するBitmain社は、マイニング専用のASICツールであるAntminerの開発なども行なっています。
その他のマイニングプール
Supernova
ビットコインなどのメジャー級から、知る人ぞ知る銘柄まで、数十種類のアルトコインに関するマイニングに、幅広く対応しているのが特徴です。
Flypool
匿名取引(ゼロ知識証明)に対応するZcash専用のマイニングプールです。
ethermine
イーサリアム専用のマイニングプールです。
プールマイニングソフトという、最も効率よくマイニングできるプールや仮想通貨を、自動的に選択してくれるソフトを導入する方法もあります。
初心者向けとして知られるのが「MinerGate」です。
スマホ対応アプリ(MinerGate Mobile Miner)もありますので、試しにマイニングの世界に触れてみるきっかけとしては、使いやすいのではないでしょうか。
もっとも、スマホの情報処理性能を使ってマイニングに参加するわけですから、獲得できる報酬もそれなりです。
中級~上級者向けとしては「Nicehash Miner」を用いる方法があります。
GPU(Graphics Processing Unit)を搭載した高性能コンピュータによるプールマイニングに適しています。
クラウドマイニングは、マイニングを行っている会社、事業体に出資をすることです。
自分のPCをマイニングのために動かさず、間接的にマイニングに参考する方法といえます。
マイニングを行った会社に入ってきた、マイニング報酬の一部が、出資した額に応じて分配される仕組みです。
会社の株に投資をして、配当を受け取るイメージに近いでしょう。
個人のPCのマイニングで、収益を上げるのが現実的でないビットコインでも、クラウドマイニングであれば、収益を上げられる可能性はあります。
- 初心者でも参加可能
- 設備投資や、電気代がかからない
①初心者でも参加可能
他のマイニング方法と異なり、マイニングの設備を整える必要がないため、マイニングの初心者でも参加が可能です。
自分でビットコインをマイニングをしたいわけではないが、ビットコインのマイニングに投資してみたい方には、おすすめの方法です。
②設備投資や、日々の電気代がかからない
また、クラウドマイニングは、初期の設備費用や、日々の電気代がかかりません。
出資する金額だけが、初期費用といえるでしょう。
- 詐欺の可能性
- マイニング会社の倒産リスク
①詐欺の可能性
クラウドマイニングでは、詐欺に巻き込まれないように注意が必要です。
『クラウドマイニングという名目で資金を集めて、実際にはマイニングをしていない』『資金を集めた途端サイトが封鎖される』という事例も報告されています。
クラウドマイニングをする際は、投資先が詐欺の可能性がないか、きちんと確認するほうがよいでしょう。
②マイニング会社倒産のリスク
万が一、マイニング会社が倒産した場合に、出資したお金が全く返ってこないリスクがあります。
現在は、出資の元本を保証する制度がないので、きちんと倒産のリスクを考慮にいれておく必要があるでしょう。
GenesisMining
世界最大級のクラウドマイニングサービスです。新しい会員を紹介した場合の報酬制度などがあります。
HashFlare
ブロックチェーン先進国として知られるエストニアの企業、HashCoinsに投資をするものです。受け取ったマイニング報酬を自動的に再投資することによって、事実上の複利運用を行うことができます。
Hashnest
世界最大規模のマイニング企業、Bitmainが運営しています。ハッシュレートではなく、マイニング機材そのものに投資をするので、ある程度はまとまった額を用意する必要があるでしょう。
では、実際に、ビットコインのマイニングで儲けることはできるのでしょうか?
まず、日々のコストである、電気代を計算したところ、892.8円/月となりました。
(消費電力は、ノートPCで、CPUをフル稼働させ、また24時間を1か月回し続けた場合を想定しています。また、1kWhの単価については、東京電力の夏季を除く単価を参考にしています)
つまり、月に900円程度稼げれば、赤字にはならないという計算になります。
そこで、マイニングソフトのMINER GATEが提供する機能である、Mining profitability calculatorを使用し、現在のPCで、どれくらいのコインがマイニングできるか、計算してみます。
編集者が、通常にオフィスで使用しているノートPCで、計算力をチェックしました。
すると、24hで最大0.00001BTC換算分のコインがマイニング可能という計算結果がでました。
2017年12月12日時点で1BTCは約190万円なので、19円/日、570円/月がマイニング報酬として得られる計算です。
つまり、実験に使ったノートPCでは、
570 - 892.8 = -322.8円と赤字になってしまいます。
やはり、ソロマイニングは、通常の設備では、電気代さえも回収するのが難しい方法といえそうです。
ビットコインのマイニングには、次の3つの方法がありました。
- ひとりで行う「ソロマイニング」
- 他のマイナーたちと協力して行う「プールマイニング」
- マイニングの事業者に出資して、報酬の分け前を受け取る「クラウドマイニング」
現在では、個人がビットコインのソロマイニングを行うのは非常に困難です。
「ビットコインにこだわってマイニングしたい方」や、「ビットコインをソロマイニングするほど高性能のPCを持っていない方」は、プールマイニングが最も適した選択肢でしょう。
「ビットコインのマイニングに参加してみたい方」は、クラウドマイニングを検討してみてはいかがでしょうか。
「マイニングの仕組み」を詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。