目次

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  1. 8月1日問題をきっかけにビットコインキャッシュが誕生
  2. ビットコインの8月1日問題とはSegwit派とビックブロック派の対立
  3. ビットコインの8月1日問題の背景①ビットコインXT(2015年)
  4. ビットコインの8月1日問題の起源②香港合意(2016年)
  5. ビットコインの8月1日問題の起源③ニューヨーク合意(2017年)
  6. ビットコインの8月1日問題まとめ
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ビットコインを知っている方でビットコインキャッシュを知っている方は多いのではないでしょうか。

今回紹介する8月1日問題とは、元は1つであったビットコインが、現在のビットコインとビットコインキャッシュに分裂するきっかけとなった問題です。

この記事にたどり着いた方は

「ビットコインの8月1日問題って何」
「ビットコインの8月1日問題で、なぜビットコインは分裂したの」

などさまざまな疑問をお持ちの方がいらっしゃのではないでしょうか。

そこで、ビットコインの8月1日問題の概要と、ビットコインの8月1日問題の直接の原因である、ビットコインのスケーラビリティ問題の解決策を巡る歴史から8月1日問題を紐解いていきたいと思います。

「スケーラビリティ問題って何」という方は、『ビットコインのスケーラビリティ問題とは』の記事をまずご覧になることをおすすめします。

ビットコインの8月1日問題とは、ビットコインキャッシュが分裂するきっかけとなった問題のことで、ビットコインのスケーラビリティ問題の解決策を巡り、ビットコインコミュニティ内が分裂しました。

ビットコインコミュニティ内では、ビットコインコア派ビットコインアンリミテッド派に2分され、それぞれ以下の解決策を提案しました。

ビットコインコア派
解決策:Segwit(セグウィット)
理由:ブロックサイズの拡大の必要がなく、ブロックチェーンの分裂を引き起こす必要がないから
理由:ブロックサイズの拡大は。ブロックの伝搬速度の遅延や、マイニングの集権化を引き起こすから

ビットコインアンリミテッド派
解決策:可変ブロック
理由:Segwitでは、ブロックサイズの拡大をしないため、スケーラビリティ問題を解決できない

ビットコインコミュニティ内で、スケーラビリティ問題の解決策を巡る議論に折り合いがつかなくなった結果、オリジナルのビットコインはビットコインとビットコインキャッシュに分裂したのです。

それでは、それぞれが主張したSegwitと可変ブロックの詳細ご紹介します。

Segwitとは『Segregated Witness』の略語で、『署名の分離』という意味です。

ビットコインのトランザクションのデータの中には、ビットコインを決済や送金に使用した人の署名(サイン)も格納されているのですが、その署名をトランザクションから分離することがSegwitです。

従来のビットコインとSegwit実装後のトランザクション数の変化を図解していきます。

Segwit実装前のビットコインでは、ブロックに格納されているトランザクションで署名データ分もブロックに格納されていました。

では、Segwitを実装するとどうなるのか次の図を見ていきましょう。

Segwit実装後のビットコインのブロックを見てみると、署名がトランザクションから分離されることで、ブロックのサイズは変わらないのに、格納できるトランザクション数が増えているのがわかりますね。

可変ブロックとは、ビットコインのブロックサイズをトランザクションに応じて、変更することを可能にする考えのことです。

この可変ブロックでは、ビットコインのトランザクションをブロックに格納するマイナーが投票でブロックサイズを決めるというものです。

可変ブロックは、ブロックのトランザクションに応じて、ブロックサイズを変更することができるため、スケーラリビティ問題の解決に繋がるとされています。

まとめると、Segwitとはブロックサイズを変更しないででスケーラビリティ問題を解決しようとするもので、可変ブロックはブロックサイズを拡大してスケーラビリティ問題を解決しようとしているのです。

そして、このスケーラビリティ問題の解決策を巡り、図のようにオリジナルのビットコインはビットコインとビットコインキャッシュに分裂しました。

それぞれのコミュニティが、反対するコミュニティの解決策に何故反対したのかは、ビットコインの8月1日問題の背景の段落で、歴史とともに紐解いていきます。

ビットコインで仕様変更をするには、ビットコインネットワーク参加者の一定数の賛成が必要なのですが、コミュニティが2分されたことで賛成が得られませんでした。

そしてビットコインコア派、ビットコインアンリミテッド派はそれぞれ「UASF」と「UAHF」を実行ることで仕様変更を行いました。

次の段落では、UASFとUAHFについてご紹介します。

UASFは Shaolin Fryという匿名のユーザーから提案された、ソフトフォークです。

ソフトフォークとは、ブロックチェーンの分裂を必要としない互換性のある仕様変更のことです。

互換性のある仕様変更とは、元はDVD・ブルーレイプレイヤーだったものを、ブルーレイプレイヤーに変更するといった仕様変更のことです。

UASFでは、2017年8月1日時点でSegwitが動作していなければ、自動的にSegwitに対応していないブロックは正当なブロックとして認めず、すべて拒否するということを定めています。

ビットコインコア派は、このUASFを実行することで、オリジナルのビットコインにSegwitを実装しました。


参考元①BIP148
参考元②UASF Working Group


UAHFとは、UASFに対抗して中国大手マイニング業者のBitmain社が提唱した、ハードフォーク案に基づくもの提案です。

このUAHFは、Bitmain社ではなく大手マイニング業者のViaBTCらにより実行されましいた。

UAHFを実行すれば、ブロックサイズの上限1MBを撤廃して、トランザクション数に応じてマイニングを行うマイナーによる投票によりブロックサイズを決定できるようになります。

個の仕様変更を行うとUASFを実装したビットコインのブロックチェーンでは、UAHF対応のブロックチェーンと互換性がないため、別々のルールを持つブロックチェーンへ分裂します。

ViaBTCらが、Segwitに反対理由には、「Segwitはスケーラビリティ問題の解決策にならない」「Segwitが実装されればビットコインコア開発者がコミュニティへの影響力を強めてしまう」としていますが、一部では、Segwitが実装されると高性能マイニング専用ツールのASICが使えなくなり、「マイニング業者の首を絞めることになるため」という見解もあります。


ここまでで、ビットコインの8月1日問題についてご紹介してきましたが、8月1日問題とはビットコインコア派とビットコインアンリミテッド派でスケーラビリティ問題の解決策を巡る対立のことだということがご理解いただけたかと思います。

しかし、このスケーラビリティ問題の解決策を巡るビットコインコミュニティの対立は8月1日問題より以前から顕在化しています。

次の段落では、ビットコインの8月1日問題の背景にある、スケーラビリティ問題の解決策を巡るビットコインの歴史を解説していきます。

2015年にビットコインXTというスケーラビリティ問題に対する解決策が、ギャビン・アンドレ―セン氏らによって提唱されたブロックサイズの拡大提案です。

ビットコインXTでは、2016年にブロックサイズを8MBにし2036年までにブロックサイズを8GBまで拡大するという内容でした

ビットコインXT以降、スケーラビリティ問題に対する解決策を巡る論争が活発に行われるようになりました。

2015年には、スケーラビリティ問題の解決策を話し合うためのScalingbitocoin(スケーラリングビットコイン)がモントリオールと香港で開催され、香港でのScalingbitocoinでSegwitが提唱されたのです。

この2015年にはBIP100で、可変ブロックが提唱されました。

つまり、2015年にはSegwitを主張するコミュニティ(後のビットコインコア)と可変ブロックを主張するコミュニティ(後のビットコインアンリミテッド)存在していたことになります。

2016年に香港合意という協定が、Segwit派とビットコインクラシック派で結ばれました。

ビットコインクラシック派とは、ビットコインのブロックサイズを1MB→2MBにすべきというコミュニティのことで、クラシック派とSegwitを主張するコミュニティ間で解決策を巡る激しい論争が行われていました。

コア派は、ブロックサイズの拡大は根本的な解決策ではないと批判しました。

香港合意では、ビットコインコア派がSegwit実装後3カ月以内の、2MBハードフォークの承認を条件にSegwitの実装が決定しました。

この香港合意によってスケーラビリティ解決策を巡る問題は収束するのかと思われましたが、Segwitの実装が進まないことなどの理由から、ビットコインのブロックサイズ拡張案(可変ブロック)が再び提唱されました。

ビットコインアンリミテッド派には、大手マイニングプールのViaBTCが該当します。

ニューヨーク合意とは、Segwit派とブロックサイズ拡大派で結ばれた妥協案で、Segwit実装後6ヶ月以内にSegwit実装後のビットコインのブロックサイズを2MBに拡大するSegwit2xが提案されました。

このニューヨーク合意により、Segwit派とブロックサイズ拡大派のコミュニティがSegwit2xを受け入れたのですが、Segwitに以前から賛同していなかったViaBTCなど一部のコミュニティは、ブロックサイズの拡大を強調しSegwitの実装に反対していました。

結果、ViaBTCなどのビットコイン・アンリミテッド派は、大手マイニング企業のBitmain(ビットメイン)が提案したUAHFを実行に移し、ビットコインキャッシュを誕生させたのです。

ニューヨーク合意で決まっていたSegwit2xの実装は見送られました。

Segwit2xを主導していたグループの代表・マイク・ベルシェ氏は以下のようにン述べています。

「我々はブロックサイズ拡大の必要性を強く信じているが、さらに重要なのは、コミュニティーの絆を保つことだ。われわれが十分なコンセンサスを構築できていないことは明らか。分裂を強行すると、コミュニティーを分裂させ、ビットコインの成長を後退させる可能性がある。これは決してSegwit2xの目標ではない」参考ビットコイン「Segwit2x」中止 11月の分裂回避と述べています。

今回は分裂回避のためにやむを得ずハードフォークを中止したと読み取れる内容であり、いつかはビットコインはハードフォークするといわれており、今後も分裂は続くでしょう。

ビットコインの8月1日問題に関する、これまでの内容をまとめると以下の通りです。

  • 8月1日問題とは、スケーラビリティ問題の解決するための施策を巡る、ビットコインコア派とビットコインアンリミテッド派の対立
  • ビットコインコア派はSegwit案、ビットコインアンリミテッド派は可変ブロック案を主張
  • ビットコインコア派がUASFでSegwitを、ビットコインアンリミテッド派がUASFで可変ブロックをビットコインに実装したことで、ビットコインは分裂

ビットコインの8月1日問題だけではなく、スケーラビリティ問題の解決策を巡る対立には、ビットコインXTや香港合意などがありましたね。

現在、ビットコインから分裂したビットコインキャッシュはビットコインに代わる存在なのではないかといわれており、ビットコインとの関係性に注目が集まっています。

気になる方は「ビットコインキャッシュとは」の記事をご覧ください。