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イーサリアム(ethereum )とリスク(Lisk)は開発目的の類似性から、よく違いを比較される仮想通貨です。
この記事にたどり着いた方は、イーサリアムとリスクの『仕組みの違い』や『基本情報の違い』を知りたいのではないでしょうか。
中には、取引所で仮想通貨を購入する前に、2つのコインの違いを知りたい・比較してみたいという読者の方もいるかもしれませんね。
この記事では、イーサリアムとリスクを比較しながら、4つの違いを紹介しています。
次の段落では、イーサリアムとリスクがそもそも何なのか解説していきます。
イーサリアムとリスクの概要は知っているという読者の方は、イーサリアムとリスクの4つの違いの段落からご覧ください。
イーサリアム(ethereum)とリスク(Lisk)はどちらも、ブロックチェーンにスマートコントラクトを実装しており、分散型アプリ形成プラットフォームとして開発されました。
ブロックチェーンとは、取引データや契約の内容を記載するための台帳のことで、取引データをまとめたブロックがチェーンのようにつながっています。
スマートコントラクトとは、(取引の)契約を人の手を介さず、自動で実行させる仕組みのことです。
- 自動販売機の例
自動販売機では、お金をいれボタンを押せば、飲み物は自動的に提供されます。提供されるときに人の手は介していません。 すなわち『十分なお金をいれボタンを押せば飲み物が手に入る』という契約が、人を仲介せずに実行されているのです。
分散型アプリケーションとは、『Dapps(Decentralized Applications)』とも呼ばれていますが、以下の条件を満たしたアプリ(サービス)のことを指します。
- 誰でも自由に使用できる
- 中央管理者が存在しなくても、自律的に動作する
- ブロックチェーンで、データを管理する
- 仕様の変更が、ユーザーの合意のもとで行われる
分散型アプリケーションの例として、イーサリアムのプラットフォームを使用しているAugurという予測市場(賭け)プラットフォームがあります。
例えばAugurでスポーツ賭博を実現させる場合、
- Aさんは日本代表が勝利すると予想、Bさんはブラジル代表が勝利すると予想
- Augurのネットワークに参加しているレポートにより、どちらが正しいか判断
※正しいジャッジをしているレポーターにもインセンティブが支払われる - 日本代表が勝利していた場合、AさんはBさんの掛け金を受け取ることができる(Bさんは掛け金を失う)
といった賭博がスマートコントラクトにより実現させることができます。
イーサリアムとリスクの違いは、分散型プラットフォームを使用する参入障壁(難易度)と分散型アプリケーションを形成する場所が異なります。
この記事では、イーサリアム(ethereum)とリスク(Lisk)の以下の4つの違いを比較していきます。
- 基本情報の違い
- DAppsの構築場所の違い
- コンセンサスアルゴリズムの違い
- プログラミング言語の違い
コンセンサスアルゴリズムとは、ブロックチェーンにどのブロックを追加するかを決めるためのルールのことです。
では、これら4つの違いについてそれぞれ確認していきましょう。
基本情報の違い
イーサリアム | リスク | |
---|---|---|
独自通貨 | Ether | LSK |
提唱者 | Vitalik Buterin | Max Kordek Olivier Beddows |
開発組織 | Ethereum Foundation | The Lisk Foundation |
合意形成 | PoW | DPoS |
承認時間 | 約15秒 | 約10秒 |
減少期 | なし | あり |
発行上限 | 設定なし | 設定なし |
時価総額 | 約8兆円(第2位) | 1745億円(第21位) |
時価総額はCryptocurrency Market Capitalizationsの、2017/12/18のデータを参考にしています。
イーサリアムとリスクの基本情報の違いで抑えてるべき点は、減少期の有無です。
減少期とは、通貨の新規発行が減少するということです。
イーサリアムには新規発行の減少は設定されていませんが、リスクでは以下のように1年ごとに新規発行量が減少していきます。
- 1年目2017年5月24日 5→4LSK
- 2年目2018年5月24日 4→3LSK
- 3年目2019年5月24日 3→2LSK
- 4年目2020年5月24日 2→1LSK
- 5年目以降2021年5月24日~ 1LSK
基本情報の違いを確認したところで、イーサリアムとリスクの構造上の違いを確認していきましょう。
次の段落では、イーサリアムとリスクの、分散型アプリケーション(DApps)が構築される場所の違いを比較をしながら解説していきます。
イーサリアムでは、メインのブロックチェーンでDAppsを形成しますが、リスクではサイドチェーンと呼ばれる、メインのブロックチェーンとは別のブロックチェーンでDAppsを形成します。
メインのブロックチェーンと解説していますが、イーサリアムにブロックチェーンは1つしかなく、他のブロックチェーンを作成することはできません。
一方リスクでは、メインのブロックチェーンとは別のブロックチェーン、すなわち、サイドチェーンが作成できるのです。

イーサリアムでは、2016年にメインチェーン上で構築されたDAppsである、『The Dao』というサービスがハッキングにあい、メインチェーンをハッキング前の状態に戻すという対応がとられました。
リスクでは、DAppsをはサイドチェーンで形成するので、DAppsがハッキングなどの被害にあっても、サイドチェーンをメインチェーンから切り離せば、メインチェーンに影響を及ぼすことはありません。
このことから、サイドチェーンの方が、ハッキングに強いということがいえます。
ただし、サイドチェーンにも課題はあります。
ここでは詳細は解説しませんが、気になる方は『サイドチェーン』の記事をご覧ください。
イーサリアムではProof of Work(PoW)というコンセンサスアルゴリズムを使用していますが、リスクではDelegated Proof of Stake(DPoS)というコンセンサスアルゴリズムを使用しています。
コンセンサスアルゴリズムとは、ブロックチェーンにどのブロックを追加するかを決めるためのルールのことでしたね。
違いを簡単に解説すると、以下の通りです。
- PoWでは、計算を早く解いた利用者のブロックをブロックチェーンに追加する
- DPoSでは、代表を投票で選出し、代表者が承認したブロックをブロックチェーンに追加する
ブロックチェーンを使用している仮想通貨では、通常、取引データをまとめたブロックを作成し、ブロックチェーンに追加します。
この作成方法と、どのブロックを追加するのかを規定したのがコンセンサスアルゴリズムです。
Proof of Workでは、参加者に計算問題を解かせる、一番早く計算問題を解いた参加者が生成したブロックをブロックチェーンに追加する**ことが決まっています。
すなわち、ブロックを追加する代表者は計算問題によって決まるのです。
Proof of Workでは、プラットフォームを使用している、不特定多数の参加者がブロックを追加する権利をかけて計算問題を競争して解いています。
計算問題を一番早く解くと、ブロックを追加する権利とともに、新規発行されるコイン(ここではイーサリアム)を報酬として受け取ることが可能です。
計算問題の内容に関してはここでは触れませんが、気になる方は関連記事をご覧ください。
DPoSでは、取引承認をおこなう101人の代表者を、LSKの保有者による投票で選出します。
先ほどのProof of Workでは、計算問題でしたが、DPoSでは投票によって代表者が決定されるのですね。
投票によって選ばれた101人の代表者が、ブロックの承認を行い、承認を行うごとに報酬として取引手数料と新規発行されるLISKを受け取ることができます。
まとめると、PoWとDPoSの違いは、『PoWは、計算問題をいち早く解いた参加者』が、『DPoSでは投票によって選ばれた代表者が』取引データをまとめたブロックの承認作業を行うという点です。
イーサリアムとリスクについて説明する際によく比較されるのが、プログラミング言語の違いです。
イーサリアムでは、スマートコントラクトの契約内容をブロックチェーンに記載する際に、Solidity(ソリディティ)というプログラミング言語を使用しますが、リスクではJavaScriptを使用します。
Solidityとは、イーサリアムが独自開発したプログラミング言語のことです。
一方、JavaScriptとは、リスクが開発される前から世界中で使用されていたプログラミング言語です。
Solidityは独自開発の言語なので、スマートコントラクトを実行するために一から言語を覚えなくてはなりませんが、リスクではJavaScriptをあらかじめ知っていれば、誰でもスマートコントラクトを実行することが可能です。
ここまでで、イーサリアムとリスクの違いを比較してきましたが、まとめると以下の通りです。
- どちらも分散型アプリケーション形成のためのプラットフォーム(土台)
- DAppsは、イーサリアムではメインチェーン、リスクではサイドチェーンで形成される
- 取引の承認は、イーサリアムでは不特定多数の参加者、リスクでは101名の代表者が行う
- スマートコントラクトを実行するために、イーサリアムではSolidity、リスクではJavaScriptが使用されている
イーサリアムとリスクは、DApps実現のためのプラットフォームで、マイクロソフトなどの大手企業も注目しており、今後更なる発展が見込まれています。