目次

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  1. マウントゴックス(Mt.Gox)事件とは?
  2. 【概要】ビットコイン取引所『マウントゴックス(MT.GOX)』とは
  3. 【事件の経緯】ビットコイン取引所Mt.Gox(マウントゴックス)はなぜ破綻した?
  4. 【2011年6月】ビットコイン取引所「マウントゴックス」がハッキング被害を受ける
  5. 【2014年2月28日】ビットコイン取引所「マウントゴックス」が民事再生手続開始の申立て
  6. 【2015年8月】ビットコイン取引所「マウントゴックス」元CEOマルク・カルプレス氏が逮捕
  7. 【2017年7月】初公判が実施され、マルク・カルプレス氏は「無罪」を主張
  8. 【2017年7月】資金洗浄の疑いで、ビットコイン取引所「BTC-e」運営者を逮捕
  9. 【年表】ビットコイン取引所「マウントゴックス」の民事再生法申請から現在まで
  10. 【まとめ】Mt.Gox(マウントゴックス)事件
Large mtgox

ビットコインの取引所の事件で最も有名なマウントゴックス事件。

一般的に、事件発覚から破綻までの一連の出来事は「マウントゴックス事件」と呼ばれます。

この記事をご覧の方には、

「マウントゴックス事件ってどんな事件だったの?」
「マウントゴックス事件の経緯や破綻の原因を知りたい」
「マウントゴックス社の社長が逮捕されたけど、その後どうなったの?」

など、さまざまな疑問をお持ちの方が多いのではないかと思います。

マウントゴックス事件の概要、経緯、破綻の原因、元CEOマルク・カルプレス氏の横領疑惑と逮捕など、これからご説明していきたいと思います。

マウントゴックス(MT.GOX)とは、もともとMagic:The Gathering(マジック:ザ・ギャザリング)」のトレーディングカードのオンライン交換所として、アメリカ出身のプログラマJed McCaleb(ジェッド・マカレブ)氏によって設立されました。

MT.GOXとは、『Magic:The Gathering Online Exchange』の略称です。

その後、ビットコイン取引所として事業展開し、2010年7月18日、東京都渋谷区でビットコイン取引所MT.GOXがオープン。

2011年には、Jed McCaleb氏は、Mark Karpeles氏にマウントゴックスを売却しました。

以下、マウントゴックスの基本情報です。

取引所名 マウントゴックス(株式会社MTGOX)
所在地 東京都渋谷区渋谷
設立 2010年7月18日
創業者 ジェッド・マカレブ
Jed McCaleb
親会社 株式会社TIBANNE
(2009年10月29日設立)
取扱通貨 ビットコイン(BTC)のみ
CEO マルク・カルプレス
Mark Marie Robert Karpelès
公式ウェブサイト mtgox.com

次に、マウントゴックス事件の発端となったハッキング被害や、元CEOマルク・カルプレス氏の横領疑惑から逮捕までの一連の経緯について、ご説明します。

ここからは、2011年にマウントゴックスで発生したハッキング事件と、2014年に発生したマウントゴックス事件について、次の5つの出来事をピックアップして、マウントゴックスが破綻するまでの経緯を紐解いていきたいと思います。

  1. マウントゴックスがハッキング被害を受ける
  2. マウントゴックスが民事再生手続開始の申立て
  3. マルク・カルプレス氏の逮捕
  4. 初公判が実施され、マルク・カルプレス氏が無罪を主張
  5. 資金洗浄を行った疑いで取引所「BTC-e」運営者を逮捕

ひとつずつ確認していきましょう。

マウントゴックスが受けた、ハッキングによる被害は、次のとおりです。

  1. ビットコイン価格の不正操作と持ち出し
  2. ユーザー情報(ユーザーID、メールアドレス、パスワード)の流出

詳しく見ていきましょう。

2011年6月20日午前3時頃(日本時間)、不正侵入者によるハッキング行為により、マウントゴックスで取引されていたビットコインの価格が、約30分間で17.50ドルから0.01ドルに不当に引き下げられました。

これを受け、マウントゴックス上でのビットコイン取引は一時停止(オフライン)となりましたが、不正侵入者は、マウントゴックスがセキュリティ対策を行う前に撤退し、約2000BTCをそのまま持ち出したそうです。

また、マウントゴックスのユーザーデータベースのコピーファイルが、オンライン上に流通。

流出したファイルには、マウントゴックスの数千の顧客のユーザー名、メールアドレス、パスワードが記載されていました。

事件後に、マウントゴックス元CEOマルク・カルプレス氏は、「Dear members of the press and Bitcoin community,(報道各位とビットコインコミュニティーへ)」と呼びかけるペーパーを発表。

その中で、マウントゴックスは以下を発表をしています。

  • 不正に使用されたアカウントは、(会社の)前所有者のもの
  • 流出したユーザー情報については、一時的にアカウントをロックすること
  • ユーザー自身も、コンピュータに推測されないような長いパスワードを使用するよう留意すること

発表されたペーパーの最後には、マウントゴックスがビットコインの急成長に対し、準備が万全でなかったことについての謝罪が記載され、質問や意見があれば何でも連絡するように促しました。

ただし、このハッキングはマウントゴックスが破綻する直接の原因ではないと考えられます。

マウントゴックスが破綻する直接の原因は、次の章から紐解いていきましょう。

2014年2月28日、マウントゴックス元CEOマルク・カルプレス氏は、東京霞が関で記者会見を開き、東京地方裁判所に提出した民事再生手続開始の申立が受理されたことを発表

これにより、当時ビットコインの取引量の約7割をしめた、マウントゴックスが破綻しました。

同日発表された文書によると、ユーザーが保有する75万ビットコイン、マウントゴックスが保有する10万ビットコインが、外部からの不正アクセスにより流出したことや、現金の預かり金約28億円が不足していることが明らかとなりました。

さらに同文書では、マウントゴックス社の財務状況は債務超過の状況にあることと、申立の契機となったトラブルについて記載されています。

債務超過(さいむちょうか)とは、会社経営において負債が資産より大きくなり、資産をすべて売却しても負債を返済しきれない状態のこと

【図解あり】債務超過とは|意味やリスク・対処法を解説|債務整理ナビ

【民事再生手続開始の申立てに関する発表の概要】

  • 平成26年2月初め頃、ビットコインのシステムのバグを悪用した不正システムにより、ビットコインの送金(ビットコインの引出)が正常に完了しない取引が増加した
  • 調査によって大量のビットコインがなくなっていたことが分かった
  • 正確な状況は判明していないものの、なくなっていたのは、ユーザーの保有するおよそ75万BTCおよびマウントゴックス社の保有する約10万BTCのほぼすべて
  • 「バグの悪用により盗まれた可能性が高い」と考えている
  • ユーザーからの現実の預り金の総額と,かかる預り金を管理している金融機関への預金残高の総額に多額の齟齬があり,預金残高が大幅に不足(最大で約28億円の不足)

上記のように、ビットコインが消失した原因は「バグの悪用」だと発表しています。

このバグの悪用とは、一般的に「トランザクション展性」といわれるもので、ハッカーはこのバグを利用したといわれています。

トランザクション展性については、「Segwitとは」の記事で詳しく解説しているので、気になる方はぜひご覧ください。

しかし、その後の調べで、「ビットコイン消失は、マルク・カルプレス氏の自作自演ではないか?」との見方が出てきました。

2015年8月1日、マルク・カルプレス氏は、自身の口座残高を不正に水増しした疑いで、警視庁に逮捕されました。

警視庁がマウント社やカルプレス容疑者らのパソコンを解析したところ、現金の入金記録がないのに、カルプレス容疑者の口座残高が急激に増えていたことが発覚。残高の変更にはCEOのアクセス権限が使われた形跡が見つかった。

ビットコイン流出 カルプレスCEOを逮捕、個人口座100万ドル水増し容疑 警視庁

逮捕同月の、2015年8月21日、マルク・カルプレス氏は、顧客からの預金を着服したとして、業務上横領の容疑で再逮捕、起訴されました。

2017年7月11日に、東京地裁で初公判が行われ、マルク・カルプレス氏は無罪を主張しました。

同日、マルク・カルプレス氏は、自身のTwitterで、第一回公判における罪状否認の書類を公開しています。

罪状否認の内容には、自身が無罪であるという主張に加え、以下のことが記載されています。

【マルク・カルプレス氏が公開した罪状否認の内容】

  • マウントゴックスの業務について、不正なデータ操作や、不正にお金を使ったことは一切ない
  • 私電磁的記録不正作出といわれているものは、マウントゴックスの負債ポートフォリオを適正に管理するためのもの(「オブリゲーション交換」という業務)
  • オブリゲーション交換は、創業者ジェド・マケーレブ氏の指示
  • 横領疑惑についても、公認会計士が「貸付金」と勘定元帳に計上し、処理したお金であり、顧客のお金ではない
  • この裁判は、残念ながら、マウントゴックスの破綻原因(ビットコイン流出)とは無関係なところで行われている
  • すでに、世界の一握りの優秀な技術者たちによって、マウントゴックスの破綻の主たる原因は、「外部からのハッキングによって、ビットコインが盗まれたことに よるものである」と、解明されている
  • 盗まれたビットコインを取り戻すため、引き続き調査をすすめていく

逮捕から2年経過してようやく開かれた初公判の知らせを受け、翌日の2017年7月12日付けのDAILY BEAST(ニューヨークに拠点を置くニュースサイト)は、マルク・カルプレス氏が無罪主張している点に触れ、「日本の警察はサイバー犯罪の捜査に優れておらず、ハッキング事件では複数の個人を逮捕し、自白を強要する」と述べました。

2017年7月26日、マウントゴックスから「入手」したビットコインを資金洗浄した疑いで、ビットコイン取引所「BTC-e」の運営者の一人、アレクサンダー・ビニック氏が逮捕

この逮捕を受け、マルク・カルプレス氏は以下のようなツイートをしました。

本件が現在初公判中のカルプレス被告の罪状に影響をあたえるかは今のところ不明だ。マウントゴックスの創設者であるジェド・マケーレブ氏からカルプレス被告に経営権が移管されたのは2011年。秘密鍵が盗まれた時期と重複するからだ。しかしながら、もし計画的犯行がカルプレス被告ではなく別の人物によるものであった場合、カルプレス被告の無罪が証明されることになるだろう。

BTCN:Mt.Gox、ビットコイン消失事件の真犯人が浮上 ギリシャで逮捕の男

マウントゴックス事件のビットコイン消失について独自に調査している「WizSec」は、2017年7月27日に公開した記事の中で、

  • 2013年半ばまでに、(アレクサンダー・ビニック氏は)MtGoxから約63万BTCを奪った
  • ビットコインがビニック氏のウォレットへ入れられた後、ほとんどがBTC-eに移され、売られたか洗浄された

と発表しました。

詳細については、「準備中」だとしています。

ここまで、マウントゴックス「事件」にフォーカスし、経緯を見てきました。

ここからは、マウントゴックス社が、民事再生法を申請してから、現在に至るまでの経緯を見ていきましょう

マウントゴックス公式サイトの情報を参考に、マウントゴックス社の経緯について、時系列で見ていきたいと思います。

2014年2月28日:東京地方裁判所に民事再生手続開始の申立を行い、受理される
2014年2月28日:東京地方裁判所から、再生債務者株式会社MTGOXについて包括的禁止命令が発せられる
2014年3月10日:米国テキサス州北部地区連邦破産裁判所に対し、民事再生手続の承認の申立てを行い、救済命令が出される
2014年4月16日:2014年2月28日に東京地方裁判所に受理された民事再生手続が棄却される
2014年4月24日:破産手続開始決定
2014年7月23日:第1回債権者集会が開催される
2014年11月26日:破産手続きの支援企業がPayward Japan 株式会社に決定
2014年11月26日:第2回債権者集会が開催される
2015年2月2日:マウントゴックス親会社である株式会社TIBANNEに対し、東京地方裁判所から破産手続開始決定がなされる
2015年4月22日:第3回債権者集会が開催される
2015年9月9日:第4回債権者集会が開催される
2016年2月17日:第5回債権者集会が開催される
2016年2月17日:一部の債権について否認のお知らせが発表される
2016年5月25日:第6回債権者集会が開催される
2016年9月28日:第7回債権者集会が開催される
2017年3月8日:第8回債権者集会が開催される
2017年9月27日:第9回債権者集会が開催される
2017年11月24日:一部の債権者による民事再生手続開始の申立が行われる
2018年3月7日:第10回債権者集会が開催される

2018年6月5日時点で、MTGOX 破産債権届出システム(オンライン)では、以下の手続きが可能です。

※なお、ここでの「債権者」とは、マウントゴックス取引所の利用者で、今回の事件によって被害を被ったユーザーを指しているものと考えられます。

  • 債権者が、自分の届け出た破産債権の内容を閲覧すること
  • 債権者が、他者へ債権を譲渡すること
  • 債権者が、すべての債権認否が記載された一覧表を確認すること

また、債権が認められなかった債権者は、債権調査期日から1か月以内に破産法が定める債権確定手続を執ることができます。

さらに、将来的に予定している内容は、以下のとおりです。

  • 債権者が届け出た破産債権について、金額の増額以外の変更
    →例えば、住所の変更、商号の変更など
  • 債権者が届け出た破産債権に対する破産管財人の認否結果の閲覧、配当手続など

ここまで、マウントゴックス事件について見てきました。

マウントゴックスが当時世界最大規模のビットコイン取引所であったことや、被害額などから世界的にもニュースとして取り上げられ、社長逮捕という意外な展開から、注目を集めました。

しかし、この事件がビットコインそのものの脆弱性を示すものではなく、また、逮捕されたマルク・カルプレス氏が一貫して無罪を主張している点や、警察の捜査がハッキングの原因究明とはかけ離れた部分に尽力されており一部海外メディアから指摘を受けている点などは、あまり知られていなかったのではないでしょうか。

「ビットコインを取り扱う会社の社長が横領疑惑で逮捕」という点ばかり強調され、ビットコインおよび仮想通貨全般に対するイメージダウンにつながるような報道がなされた点は知っておかなければなりません。

残念ながら、マウントゴックス事件以降も、取引所ハッキングによる仮想通貨の不正流出や盗難事件は相次いでいます。

取引所のハッキングに対し、個人でできる対策としては、ハードウェアウォレットの使用が挙げられます。

仮想通貨を安全に管理したいという方は、ハードウェアウォレットの使用を検討してみるのも良いかもしれません。