目次

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  1. イーサリアムは送金するのに時間がかかる!?
  2. イーサリアム(Ethereum)の送金は遅い?
  3. イーサリアム(Ethereum)の送金が遅くなる理由とは
  4. イーサリアム(Ethereum)の送金が遅いときの対処法
  5. イーサリアム(Ethereum)の送金の遅延を解決することが期待されている技術
  6. <まとめ>イーサリアムの送金は遅い?
Large ethereum

分散型アプリケーションのプラットフォームである「イーサリアム(ethereum/ETH)」
時価総額はビットコインに次ぐ第2位の規模を誇り、人気のある仮想通貨です。

昨年末、仮想通貨全体の価格が上昇し、イーサリアムの価格も高騰しました。
そんなときに多くの聞かれたのが、

「イーサリアムの送金がいつまでたっても完了しない」
「イーサリアムをなるべく早く送金する方法はないの?」
「イーサリアムの送金の遅れは解決されないの?」

などのこえでした。

実際に同じように思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。

そこで、本記事では、「イーサリアムの送金が遅いのかどうか」、「送金の遅延を解決するためにユーザーができる対策」、「イーサリアムの送金の遅延を解決するために、実装が期待されている技術」について解説していきます。

イーサリアムの送金は遅い、時間がかかると言われることがありますが、「他の仮想通貨と比較して遅い」のか、「イーサリアムのネットワークに混雑が発生している影響で、送金に遅れが生じているのか」で、論点は異なります。

結論から言うと、イーサリアムの送金完了時間は約10~15秒に設定されているため、ビットコインやビットコインキャッシュなどの仮想通貨と比較すると、送金時間は早い方です。

実際、2018年5月25日にMoblockが、ビットコインやイーサリアムの送金を行なったところ、以下のような結果が出ました。

※仮想通貨リップル(XRP)はイーサリアムよりも送金が早いといわれています。5月25日にMoblockで使用しているリップルウォレットの不具合により送金ができなかったため、この表には記載していません。改めて送金をしたら、表に追記します。

  ビットコイン
(BCH)
ビットコインキャッシュ
(BTC)
イーサリアム
(ETH)
送金時間 約7分37秒 約2分12秒 37秒
送金手数料 約22円
(0.000026BTC)
約1.53円
(0.000014BCH)
約0.000047円
(0.000000007ETH)

この結果を見ても分かる通り、イーサリアムの送金が早いことがわかります。

ただし、イーサリアムのネットワークが混雑していると、送金に数時間以上かかる場合があるのでご注意ください。

2017年の12月から2018年の1月にかけて、イーサリアムのネットワークに混雑が発生し、送金に何時間もかかったという経験をされた方が実際にいます。

詳しくは後述しますが、ネットワーク混雑時には、イーサリアムの送金手数料を高く設定することで、迅速な送金が実現する可能性があります。

また、ネットワークの混雑による送金の遅延は問題視されているため、後述するライデンネットワークやシャーディングという技術をイーサリアムに実装することで、送金データの処理能力を向上させ、送金の遅延を解決しようとする動きも見られているので、今後、送金の遅れは解消されるかもしれません。

ここまでで、イーサリアムの送金の遅延に関する全体像を簡単に紹介しましたが、次の段落では、イーサリアムで、ネットワークの混雑が発生している理由についてより詳しく解説していきます。

イーサリアムの送金が遅れる理由は、スケーラビリティ問題が発生しているからです。

スケーラビリティ問題とは、イーサリアムを送金や決済手段として活用するユーザーが増加し、処理しなければならない取引データ(トランザクション)が増加したことで、ネットワークに混雑が生じ、送金の遅延や送金手数料の高騰が発生する問題のことです。

イーサリアムはDapps構築のためのプラットフォームで、数多くのICO(※1)やdApps(※2)の開発がイーサリアム上で行われています。

ICOとは、仮想通貨を活用した資金調達のこと。
dApps(ダップス)とは、中央管理者がいなくても自立して稼働する、アプリケーションのことで、AugurやOmiseGo、Golemという仮想通貨が該当します。

スケーラビリティ問題が生じるまでの一連の流れ

  1. トランザクションが大量に発生
  2. トランザクション量が、規定の時間で格納できる容量を超えるようになる
  3. 処理しきれないトランザクションが溢れ始める
  4. いつまでたっても決済や送金が完了しないという問題が発生

イーサリアムを利用したICOの中で、すでに取引所に上場したプロジェクトは500近くあり、dAppsも1000個以上開発されています。

つまり、イーサリアムはイーサリアムの独自通貨「ETH」自体の送金の他にも、ICOで発行されたトークンを購入する際や、dApps内の取引などでトランザクションが発生してしまうのです。

以下の、画像はイーサリアムのトランザクションション数の推移を表しているチャートになります。

画像引用元:Etherscan

この画像を見ても分かる通り、イーサリアムのトランザクション数は常に変化していて、2017年末から2018年1月にかけて最もトランザクション数が多いことがわかります。

以下のツイートは、仮想通貨取引所のCoincheckの2018年1月4日のものです。

このツイートを見ても分かる通り、2018年1月にはトランザクション数の増加により、ネットワークの混雑が発生していたことがわかります。

ここまでで、イーサリアムのネットワークで混雑する理由と送金が遅れる理由について見てきましたが、次の段落では、スケーラビリティ問題が発生していることによって送金が遅延している場合の対処法をご紹介します。

イーサリアムの送金が遅い時のユーザーができる対処法として、以下の3点が挙げられます。

  1. トランザクション数が増加しているタイミングを避ける
  2. 送金手数料を高めに設定する
  3. イーサリアム以外の通貨で送金する

※3番目の対処法は、どうしてもイーサリアムで送金しなければならない場合には活用できません。

それぞれの対処法をご紹介します。

イーサリアムのトランザクションの承認状況は公開されており、【Etherscan】 で、承認待ちのトランザクションを確認することができます。

Etherscanにアクセスし、【BLOCKCHAIN】の『View Pending Txns』のタブをクリックすれば、未承認トランザクションやその数を確認することができます。

以下、2018年6月6日に撮影した画像で、左上の赤枠で囲んだ部分に【Pending txns(未承認トランザクション)】数が表示されます。

撮影時には、33,385件のトランアクションが未承認となっていることがわかりますね。

イーサリアムなど、多くの仮想通貨では、送金手数料が高い方が早く承認される傾向にあります。

イーサリアムでは、送金手数料は「GAS」と言われており、トランザクションを実行する際に必要です。

イーサリアムの送金や決済などのトランザクションは、マイナーというネットワーク参加者によって検証・承認作業(マイニング)が行われており、送金や決済の際に発生するトランザクション手数料はマイニングを行うマイナーへの対価として支払われているのです。

マイナーは、台帳に格納するトランザクションを自由に選択することが可能で、トランザクション手数料の高い取引データをブロックに格納しようとする経済的インセンティブが発生します。

トランザクション手数料が高い方が、自分がもらえる報酬が高くなるからですね。

ですから、急ぎの送金や決済の際には、トランザクション手数料を通常より高く調整することで、即時性のある送金を実行することができるようになります。

イーサリアムで送金の遅延が発生している場合は、ビットコインやリップルなど別の通貨で送金をするのも対処法の一つです。

例えば、海外取引所のBinance(バイナンス)でリップル(XRP)を購入したいという場合、リップルはイーサリアム(ETH)だけではなく、ビットコイン(BTC)でも購入することができます。

購入したい仮想通貨がイーサリアム以外でも購入可能で、イーサリアムでスケーラビリティ問題が発生しているなら、このように他の仮想通貨を送金してみるのはいかがでしょうか。

ここまで、イーサリアムの送金が遅い時のユーザーの対処法を3つご紹介しましたが、これは本質的な解決策ではなく、その場しのぎの解決策です。

イーサリアムのスケーラビリティ問題は深刻視されているので、イーサリアムのコミュニティ内でこの問題を解決するための技術が提案されています。

次の段落では、イーサリアムのスケーラビリティ問題解決のために実装が期待されている技術についてご紹介します。

イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するために期待されている技術で、実際にイーサリアムに実装された技術や、今後、実装予定の代表的な技術は以下の3つです。

  1. Raiden Network(ライデンネットワーク)
  2. Plasma(プラズマ)
  3. Sharding(シャーディング)

詳しく見ていきましょう。

Raiden Network(ライデンネットワーク)とは、イーサリアムのメインのブロックチェーンネットワークとは、別のオフチェーンネットワーク上で、Ether(ETH)やERC20トークンの送金(トランザクション)処理を行うといった技術です。

オフチェーンで処理をする送金(トランザクション)についてはイーサリアムのブロックチェーン上に記録されず、最終的な結果(オフチェーンで処理した後の状態)のみがイーサリアムのブロックチェーン上に記録されます。

Raiden Network(ライデンネットワーク)はマイクロペインメントにおける利用に焦点を当てており、イーサリウム上で動作するDapps等はその恩恵を受けづらいと考えられています。

Plasma(プラズマ)とは、ブロックチェーンとは別に階層構造を持つブロックチェーン(プラズマブロックチェーン)を用意し、そのプラズマブロックチェーンでトランザクションの処理を行う技術のことです。

上記の図のように、 マークルツリー構造をとっており、子チェーン(一つ深い階層のチェーン)のブロックが追加されるごとにトランザクションのマークルルート(ハッシュがまとめられた最終的なハッシュ値)が親チェーン(子チェーンよりも一つ浅い階層のチェーン)に記録されます。

また、親チェーンのブロックが承認されたタイミングで初めて子チェーンに追加されたブロックは承認されます。

プラズマブロックチェーンもRaiden Network(ライデンネットワーク)と同様に、最終的な状態のみイーサリアムのブロックチェーン上に記録されますが、プラズマブロックチェーン上で処理がされるため、ペイメントのみでなくスマートコントラクトの実行速度も向上させることができます。

Sharding(シャーディング)は、トランザクションの検証作業をノード群毎に分担し、並列して検証作業を行うことを目指した技術で、Raiden Network(ライデンネットワーク)とは異なり、オンチェーン上での処理方法として注目されています。

現在イーサリアムではすべてのトランザクションに対して、すべてのノードがそのトランザクションの検証を行なっています。

例えば、100個のノードによってイーサリアムのネットワークが構成されているとすると、50個のトランザクションを検証するために、それぞれのノードが50回の検証作業を行います。

Sharding(シャーディング)の場合、100個のノードが20個のノードグループ5つに別れ、それぞれが分担されたトランザクションの検証をすることで、1つのグループ(20個のノード)あたり10回(=50/5)のトランザクション検証で済むようになり、これらのグループによる検証は同時に行われます。

つまり、ノード群による役割分担をした検証により、一定時間内に検証できるトランザクション数を増やすことができ、トランザクションの処理能力が向上することになります。

ここまでの内容をまとめると以下の通りです。

  1. イーサリアムはビットコインやビットコインキャッシュより、送金時間が早いが、「スケーラビリティ問題の発生」により、送金が遅延する場合がある
  2. 送金が遅い場合、「手数料を高めに設定」「イーサリアム以外の仮想通貨で送金する」などの対応が必要
  3. ライデンネットワークやプラズマなどの技術により、スケーラビリティ問題解決が期待されている

2017年の12月から2018年の1月下旬と比較すると現在は、イーサリアムのトランザクション数が減っているため、送金の遅延は発生していないのが現状です。

ただし、今後トランザクション数が以前と同程度に増加した場合、スケーラビリティ問題の発生することが考えられ、そのような事態を防止するためにもライデンネットワークやプラズマの実装が期待されています。

イーサリアムの送金の遅れは解決されていくのか、今後の動向に注目していきたいと思います。