目次

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  1. リップルのILP(Interledger Protocol)とは?
  2. リップルのILPが解決する課題
  3. リップルのILPが実現する未来とILPの今後
  4. リップルのILPを使った送金のイメージ
  5. リップルのILPはどんな仕組みで動いているか
  6. まとめ
Large ripple

リップルのILPをご存知でしょうか。

リップルやXRPについて、Ripple Inc.の公式サイトや関連情報で頻繁に登場する「ILP」。

その名前は聞いたことがあっても、具体的にはどういうものなのかよく分からない、という方も多いのではないでしょうか。

ILPとは、「Interledger Protocol(インターレジャープロトコル)」の略で、異なる台帳間をつなぐ役割をするプロトコル(規約)のことです。

では、ILPはどういう課題を解決し、どのような仕組みで動いているのでしょうか?

この記事ではILPの概要から、ILPの解決する課題、実現する未来、そしてILPの技術的な仕組みまでを、公式サイトの図解を元に、わかりやすく説明をしていきます。

リップルのILPとは、「Inteledger Protocol(インターレジャープロトコル)」の略称です。

ILPは文字通り、InterLedger(台帳の中間にある)Protocol(規約)のことで、複数の台帳の中間にあって台帳をまたぐ支払いを可能にするための決まりごとです。

もう少し具体的にいうと、異なる台帳同士でお金のやり取りをする場合に、取引の情報をどのようなデータ形式で相手の台帳に渡すか、といったデータの扱い方をルール化したものがILPなのです。

インターレジャーの公式サイトのトップページでは、次のような文言で紹介されています。

・The protocol for connecting ledgers.

Welcome | Interledger

意訳:台帳をつなぐためのプロトコル

さらに、公式サイトでは「Ledgers」の部分がアニメーションで変化して、さまざまなものに置き換えられていきます。

・The protocol for connecting ledgers, payment networks, blockchains, banks, digital wallets, clearing houses, stock exchanges, mobile money.

Welcome | Interledger

意訳:台帳、支払いネットワーク、ブロックチェーン、銀行、デジタルウォレット、決済機関、証券取引所、電子マネーなどをつなぐためのプロトコル

台帳同士を技術的につなぐことで、実際の用途としては、銀行、ウォレットなどさまざまなものを繋げる、ということが表現されています。

ILPと似た用語として、「Interledger(インターレジャー)」があります。インターレジャーは「中間にある台帳」と訳されます。インターレジャーは複数の台帳をつなぐ存在で、その一部がILPです。台帳同士をつなぐ役割として働く台帳を「Interledger」、そのプロトコル(規約)を「ILP」と使い分けますが、この2つの用語は同じような扱いをされることが多くあります。

また、ILPとは、台帳を超えて支払いや送金を可能にするための、オープンソース(※)なプロトコルです。

(※)オープンソースとは、ソースコードが開示されており、誰にでも技術的に利用や改良が可能なプログラムのことです。オープンソースの製品は汎用的な言語で開発できるものが多く、ノウハウも共有できるため、技術者にとって扱いやすいというメリットがあります。

まとめると、ILPは、あらゆる価値をシステム上で簡単に移転できるようにし、価値の相互運用性を高めることで、新しい価値のネットワーク(RIpple Inc.はこれを価値のインターネットと呼ぶ)を作ろうとしているのです。


ここまでの説明で、ILPがどんなものかの概要は伝わったのではないでしょうか。

以降の章では、ILPについて次の4つの章に分けて、順番に説明していきます。

  • ILPが解決する課題
  • ILPが実現する未来とILPの今後
  • ILPを使った送金のイメージ
  • ILPはどんな仕組みで動いているか

リップルのILPは、支払いネットワークが独立していることによって起こる、「支払いや送金手続きが遅く、不便である」という問題を解決します。

現代の支払いネットワークは、それぞれが独立しており、切り離されています。

お金のやり取りをしたい場合、お互いが同じ国にいて、同じ支払いネットワーク(同じ銀行を利用している、など)にある場合は、簡単に送金ができます。

しかし国を超えたり、異なるネットワーク間で支払いをしようとすると不都合が起きたり、多くの場合、面倒な手続きが必要になり、手数料も高く、日数もかかってしまったりするというのが現状です。

そこで、リップルが活用している支払いネットワークのILPを活用します。

ILPがあれば、自分が参加している支払いネットワークの種類に関係なく、お金をILPパケットとしてやりとりでき、世界中で支払いや送金ができるようになります。

これにより、従来必要だった手続きが不要になり、さらには仲介業者が排されることによる手数料の削減が期待できるのです。

リップルのILPは、支払いネットワークを接続することで、価値のやりとりを簡単に行える未来を実現します。

ILPは、すべてのタイプの台帳をつなぐためのプロトコルです。

たとえば、次のようなタイプの台帳(あるいは台帳にあたる存在)を接続します。

  • 支払い台帳
  • ブロックチェーン
  • デジタルウォレット
  • 支払いシステム
  • 送金システム

支払い台帳とは、取引の金額送金先などの情報が記載されたものです。ブロックチェーンやデジタルウォレットは、ビットコインやイーサリアムといった各種仮想通貨のことでもあります。

そして、支払いシステムや送金システムは、世界の銀行や送金業者が自前でもっているシステムのことです。

これらすべてを繋ぐことで、さまざまな形態のお金のやりとりがスムーズに行えるようになります。

インターネットの実現によって、世界中の人々が情報のやりとりが行えるようになりました。

同じように、世界中の人々がお金(価値)のやりとりができるようにすることを、Ripple Inc.は「価値のインターネットInternet of Value:IoV)」と呼んでいます。

ILPは、世界中を価値のインターネットでつなぐことをゴールに設定しています。

ILPは、特定の会社、ブロックチェーン、仮想通貨、法廷通貨などとは結びついていません。ILPはどのような会社でも使うことができ、技術的な対応することで、さまざまなブロックチェーンや通貨をつなぐことができます。

ILPの可能性は広く、ILPを使ったマイクロペイメント(1円やそれ以下といった少額の決済)を行うためのリップルの関連会社「Coil」も立ち上がっています。

世界中でILPを使ってもらうため、開発元であるRipple Inc.は、ILPの開発・運用の権利を公平な第三者の機関である「W3C(World Wide Web Consortium)」へ移管しました。

Invented at Ripple, developed by the Interledger W3C Community Group.

Welcome | Interledger

意訳:(インターレジャーは)Rippleが考案し、インターレジャーW3Cコミュニティグループによって開発されています。

W3C(World Wide Web Consortium)とは、インターネットの技術的な標準を決めるための非営利団体です。W3Cによって運用されることで、みんなが使いやすい公平な技術をつくり、実際に世界中で使ってもらうことができます。

ILPの開発・運用がW3Cに移管されたことで、ILPのコミュニティが世界中に広がり、さまざまな業界の技術に応用される可能性が出てきました。

それでは次の章では、ILPを使った送金がどのようなものなのか、例を用いて説明していきます。

リップルのILPを使った送金は、実際にはどのようなものになるのでしょうか。

ILPによる送金をイメージしやすくするため、リップルの開発者「Stefan Thomas」と「Evan Schwartz」による送金デモンストレーション動画から抜粋してご紹介します。

ILPを使った送金のデモは、以下の動画の5:35〜あたりで説明されています。

まず、ユーロ圏にいるAliceから、USドル圏にいるBobへお金を送る場合を考えてみましょう。

国際送金の場合、普通は中継業者(ILPではこれをコネクターと呼ぶ)を通ります。ここではChloeがコネクターにあたります。

しかし、この取引には「コネクターであるChloeがお金を持ち逃げするリスク」が存在します。ChloeがAliceからお金を受け取るだけ受け取って、Bobへ送らないこともできてしまうのです。

この問題に対しては、「エスクロー」と呼ばれる第三者を仲介に入れるサービスで解決できます。

金額の一時的な受け皿として、盗まれないよう信頼できる第三者の監視下に置かれた「エスクロー口座」をつくり、そこにお金を入れておくのです。(このやり方は、次の章で具体的に説明します)

さらにILPなら、送金する側(Alice)がユーロで送り、受け取る側(Bob)がUSドルで受け取ることも可能となります。

送金デモンストレーションの登場人物は次の通りです。

  • Alice:送り手(通貨はユーロ)
  • Chloe:コネクター
  • Bob:受け取り手(通貨はUSドル)

Aliceが100ユーロを送り、Bobは110USドルで受け取りたいとします。

それでは、実際にILPを使って送金するイメージを見てみましょう。

① AliceはBobにお金(100ユーロ)を送る「準備」をします。コネクターであるChloeがお金を持ち逃げしないように、一時的にエスクロー口座にお金を置きます。

② コネクターであるChloeは、Aliceのお金を受け取るより先に、Bobにお金(100ユーロ=110ドル)送る「準備」として、一時的にエスクロー口座にお金を置きます。

③ ここで、エスクローからの「各人が準備ができたかの確認」が入ります。エスクロー口座を見ると、Aliceがお金を送る準備ができたこと、そしてChloeからBobへお金を送る準備ができたことが確認できました。そして、実際にBobにお金を送ります。(右下のBobのところへ110ドルが入ります)

④ 次にエスクローは、Aliceから受け取ったお金(100ユーロ)をChloeに送ります。(左下のChloeのところへ100ユーロが入ります)

⑤ これで、すべてのお金の送金が完了しました。コネクターであるChloeは、Aliceから100ユーロを受け取り、かわりにBobへ110ドルを送ったことになります。

以上が、リップルのILPをつかった送金のイメージです。

ILPは、今回の送金デモンストレーションで登場した3者(送信者のAlice、エスクローであるChroe、そして受信者のBob)が、それぞれ使っている支払いネットワークをつなぎます。

異なる支払いネットワークをILPがつなぐことで、異なる通貨間ですばやく送金することができるようになるのです。

これに対して、従来のノストロ口座(※)を使った国際送金では、個々の銀行が独立していてネットワークで繋がっていませんでした。

さらに複数の中継銀行が入るため、何回も送金を繰り返さないと受信者までお金が到達せず、多くの時間と手数料がかかっていたのです。

ノストロ口座とは、銀行間取引での資金決済を行なう当方の決済口座です。または外国に現地の通貨建で保有する当方の決済口座になります。(銀行間の外国為替取引は、外貨の決済口座を相手銀行に告知します)ノストロ口座とは、銀行間取引での資金決済を行なう当方の決済口座です。または外国に現地の通貨建で保有する当方の決済口座になります。(銀行間の外国為替取引は、外貨の決済口座を相手銀行に告知します)

ノストロ・アカウント|金融/証券用語集|株のことならネット証券会社【カブドットコム】

ILPは、送金の手間と時間、そして手数料を大幅に節約することができます。

次の章では、ILPの技術的な仕組みについて説明していきます。

リップルのILPの仕組みと構造を説明するは、「送信者」「受信者」、そしてその間をつなぐ「コネクター」の3者が登場します。

では、Interledger Architectureから引用した画像と解説を元に、ILPの仕組みを確認していきましょう。

上の図は、Interledgerの公式サイトから引用したインターレジャーモデルの図です。

Interledgerのモデルには、次の3者が登場します。

  • Sender(送信者)
  • Connector(中継者、複数いる場合もある)
  • Receiver(受信者)

コネクターとは、送信者と受信者の中継に当たる存在です。リップルやILPで使われる国際送金の場合は、中継銀行や送金業者がコネクターにあたります。

コネクターは、送信者から受信者に送るお金を「ILPパケット」という形でインターレジャーに乗せて転送するサービスを提供します。ILPパケットは、アカウントと呼ばれるコネクション(送信者、コネクター、そして受信者をつなぐ)を介して転送されます。

ILPパケットとコネクタの関係

ILPパケットには取引の金額が書かれており、パケットは個別に決済されるか、あるいは「元帳」と呼ばれる総合的な外部の決済システムを通して決済されます。

パケットの個別決済とは、単一の支払いネットワークで決済することかと思われます。

この元帳に含まれるものは、ブロックチェーンだけでなく、銀行、P2P支払いスキーム(個人間の支払い計画)、自動決済機関(ACH)、電子マネー機関、そして中央銀行が運用する即時グロス決済システム(RTGS)など、さまざまなタイプのものです。

これらのいくつかは効率的な決済をサポートしていますが、その他は遅い決済形態のものです。一般的には、取引が速くて安い台帳システムほど頻繁に決済されます。

決済は送信者と受信者で直接行われるわけではなく、コネクターがその間をつなぎます。

コネクタの報酬・リスク・ルーティング

コネクターは、転送の際に支払いパケットからいくらか引くことで収益を得ます。

そして、コネクターは受け取ったパケットの資産の種類(貨幣、あるいは資産のタイプ)を、別の種類に変換することもできます。

また、コネクターはビジネスモデルに伴ういくつかのリスクを許諾する必要があります。そのリスクとは、送金失敗によるコネクター自身の損失、流動性の低下を狙った攻撃、交換レート変動による損失などです。

ILPパケットは、目的地までにいくつかのコネクタを経由しますが、効率化のため既知のコネクタの中で最短ルートとなるようルーティングされます。

次は、リップルのILPの階層構造について、もう少し詳しく見ていきましょう。

ILPの内部構造とインタフェース(コネクタとつながる仕組み)について、図を使って詳しく見ていきましょう。

次の図は、リップルのILPの階層構造を表したものです。

上にいくほど利用者(アプリケーション)に近い存在となり、下に行くほど、システム的に深い階層になります。

第一層:アプリケーション層

一番上は「アプリケーション層」とよばれる部分で、送金アプリなどがこれに当たります。ユーザが直接手にするものであり、ユーザに最も近い部分です。

アプリケーション層は次のような情報を扱います。

  • 宛先アカウントの検出
  • 転送金額の交渉
  • トランスポート層の選択と、送金条件(秘密、共有など)のコミュニケーション
  • ILPパケットで伝達される詳細情報の追加

図に記載されている「SPSP」は、アプリケーションプロトコルの一例です。

第二層:トランスポート層

上から2番目の「トランスポート層」や、ユーザが使うアプリケーション層とインターレジャー層をつなぐ部分です。「Pre-Shared Key (PSK)」と「Interledger Payment Request (IPR)」の2種類があります。これらは暗号化方式などが異なり、用途によって選ぶことができます。詳しくは参考元資料をご覧ください。

第三層:インターレジャー層

そして、今回の話題である「ILP」は、上から三番目の層である「インターレジャー層」にいます。インターレジャーはレジャー層とつながっており、送信者と受信者の間でILPパケットを転送する役目を担います。

この層のプロトコルは「ILP」の一つしかありません。

この層では宛先アドレスや送金のためのパケットの形式、送金フローなどを定義しています。

第四層:レジャー(台帳)層

一番下はお金を扱う「レジャー(台帳)層」です。ドルや円、XRP、ビットコインなどのお金をILPパケットとして扱い、コネクターを使って転送する部分にあたります。

ILPパケットを転送するためには、送信者や受信者、あるいはコネクタは、「ILPパケットや、ときにはお金自体を転送するための設備」を整えておく必要があります。

しかし、一つ上のインターレジャー層がILPパケットをやりとりするための整備をしているおかげで、レジャー層はそれぞれに異なる台帳を使うことができます。

インターレジャー層は、対応するプラグインを使うことで、異なる種類の台帳を扱えるようにしています。詳しくは参考元のURLをご覧ください。

インターレジャーとILP(Interledger Protocol)について、概要と解決する課題、実現する未来、そして技術的な仕組みについてご紹介してきました。

インターレジャーは広義の意味での「台帳同士をつなぐ台帳」であり、そのコアとなるプロトコル(規約)がILPです。

ILPについて重要な部分をまとめます。

  • 台帳同士をつなぐ台帳「インターレジャー」の核となる部分が「ILP(Interledger Protocol)」である
  • ILPは独立した支払いネットワークを繋ぎ、価値の交換を簡単にする「価値のインターネット」を実現する
  • ILPの開発・運用は、現在は第三者の機関であるW3Cに移管されている
  • ILPを使うと、ユーザはユーロとドルなど別の資産で価値を交換できる
  • インターレジャーではお金をILPパケットとして扱い、コネクターがILPパケットを送信者から受信者まで転送する

リップルのILPについて、どのようなもので、実際にどう使われるかがイメージできたでしょうか。

インターネットが世界に普及したように、ILPはその普及によって、世界レベルでの支払いネットワークの連結が実現を目指しています。