目次

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  1. リップルのxCurrent(エックス・カレント)とは?
  2. リップルのxCurrentの仕組み
  3. リップルのxCurrentの活用事例
  4. <まとめ>リップルのxCurrentとは?
Large ripple

Ripple.Inc(以下、リップル)が運営する国際送金ネットワーク(Ripple net※)の構築のために、「xCurrent」「xRapid」「xVia」の3つのプロダクトを提供しています。

この記事では、その中の一つである「xCurrent(エックス・カレント)」について、概要、仕組み、そして実際の活用事例までを詳しく説明していきます。

xCurrentを詳しく知ることで、次世代の国際送金の仕組みを理解することができるでしょう。

※RippleNetとは?
リップルによる世界を繋ぐ送金ネットワークのことです。リップルと提携する金融機関は、RippleNetに参加することになります。
RippleNetに参加する金融機関は、世界中の参加機関と1vs1でつながることができ、即座に送金や必要な貨幣の調達(両替)が可能となります。

xCurrentを確認する前に、リップルについて改めて確認したいという方は、以下の「リップルとは?」の記事をご覧ください。

では早速、xCurrentの概要から解説していきます。

xCurrent(エックス・カレント)とは、リップルによって開発された、銀行の国際送金をより速く、より安くするためのリアルタイム送金システムです。

銀行はxCurrentを使うことで、世界中の金融機関とメッセージを送り合うことが可能となります。

ではリップルのxCurrentは、銀行や金融機関が抱える国際送金の課題をどのように解決するのでしょうか。

現在の銀行/送金業者の国際送金には、次のような課題が指摘されています。

<従来型の国際送金が抱える課題>

  • 銀行ごとに支払いネットワークが独立しているため、国境を超えたオンライン決済がスムーズに行えない
  • 国際送金に中継銀行を経由することで、送金に3〜5日要する
  • 中継銀行を経由することで手数料などのコストがかかる(1送金約3000〜7000円程度)
  • システムが中央集権型であるため、信頼性が低い(システムエラーの影響が広範囲に及ぶ)

これらの課題に対して、xCurrentには次のような特徴をもっています。

<xCurrentの特徴>

  • 世界中の金融機関と標準的な技術(ルールや記述方法、管理方法など)でつながる
  • 高速な国際送金(1送金4分程度毎秒1500件を処理)
  • 40〜70%のコスト削減
  • 高い信頼性(分散型台帳技術を活用することで、システムエラーのリスクを最小化)

xCurrentのこのような特徴から、現在の国際送金の課題を解決する可能性があることがおわかりいただけたかと思います。

さらにxCurrentは、既存の銀行のシステムにフィットするように設計されています。

その設計ポイントを次の段落で確認していきましょう。


参考元:ripple.com

xCurrentが実際に銀行に導入されるためには、銀行の業務に課せられる法律対応などの厳しいルールをクリアしなくてはなりません。

xCurrentは銀行で使われることを前提に、次のような点に配慮して設計されました。

<xCurrentが銀行にフィットするポイント>

  • コンプライアンス情報セキュリティの面で、銀行の業務に要求される法律対応をクリアするよう設計されている
  • RippleNet委員会(大手銀行の有識者などが参加するグループ)により、銀行の法律対応をクリアするためのルールブックが制定されている
  • すでに銀行で導入されているシステムとスムーズに連携するため、共通のインタフェース(メッセージ送信などに使われる技術的な決まりごと)が使われている

これらのポイントからxCurrentは、銀行にとって導入の障壁が低いシステムであるといえるでしょう。

現在のxCurrentの導入実績としては、大手銀行である三菱UFJグループや、スペインに本拠地を置く世界的な大手銀行、Santanderグループなどが、xCurrentの利用を発表しています。

今後数年で、さらに銀行への導入が増えることが期待されています。

次に、xCurrentの仕組みを見ていきましょう。

次の図は、2つの銀行を例にxCurrentを活用した国際送金の仕組みをあらわしたものです。

画像元:Solution Overview

左側に銀行A(Bank A)、右に銀行B(Bank B)がいて、お互いに国際送金を行うとします。

銀行同士はRippleNetを通じてつながっており、それぞれxCurrentを使っている状態です。

上から2番目の層と一番下の層の二ヶ所に、AとBをつなぐ線がありますが、上から2番目の線は双方向のメッセージのやり取り、一番下は実際に資産を置き換えるやりとり(リアルタイム決済)を表しています。

xCurrentの構成は、次の4つの階層から成り立ちます。

  • メッセンジャー(Messenger)
  • ILPレジャー(ILP Ledger)
  • FXティッカー(FX Ticker)
  • バリデータ(Validator)

一つずつ確認していきましょう。

メッセンジャーは銀行同士で直接メッセージを交換する機能です。

交換するメッセージ内容は、取引の詳細情報(個人情報、信用情報、手数料、FXレートなど)で、取引内容に誤りがないかを確認することができます。

もしもメッセージの段階で取引内容に誤りや抜けがあった場合は、取引が完了する前に発見できるため、大幅な業務効率化につながるでしょう。

また、xCurrentではこのようなメッセージのやりとりが、リアルタイムに行われます。

取引成立の可否が即座にわかり、ユーザの待ち時間が大幅に少なくなるため、ユーザ体験の向上としてのメリットが期待されています。

ILPレジャーは、各銀行が公的に持っている台帳(General ledger)を、相手の銀行の台帳とつなぐための技術です。

台帳を直接繋ぐことで、取引にいくつの金融機関が関わっていても、即座に決済の可否が判断できるようになります。

従来は、いくつもの中継銀行を介することで、処理待ちの状態が長くなっていましたが、ILPレジャーを使うとすぐに取引結果がわかるため、スピーディな取引が期待できるのです。

この機能は従来のシステムにはない全く新しいもので、リアルタイム(ミリ秒単位)で少額な資産(1円単位、あるいはそれ以下)を取り扱うことができます。

さらに毎日24時間オンデマンド対応が可能になることから、銀行側は営業機会の増加につながり、利益率の向上が期待できるでしょう。

FXティッカーは、銀行などの金融機関がFXレート(※)を提示することを可能にします。

FXティッカーは、次のような機能を提供します。

  • ILPレジャー上での取引内容の調整
  • FX見積もりの​​有効性を確認
  • 支払額の相手銀行への転送

あらかじめシステム側で設定された台帳の通貨であれば、どのような通貨ペアのFXレートでも提示可能で、個人情報や口座情報、認証情報を追跡にも対応しています。

FXティッカーが導入されることで、これまでは他の金融機関からFXレートを参照していた銀行も自分自身で提供できるようになり、業務効率の改善が期待できますね。

※FXレート(為替レート)とは
為替相場とも言い、外国為替市場において異なる通貨が交換(売買)される際の交換比率です。
日本で最も頻繁に目にする為替相場は円・ドル相場ですが、そのほかにもさまざまな通貨の組み合わせがあります。

バリデータは、支払いが成功したか失敗したかを検証し、金融機関に知らせてくれます。

バリデータはこれまでの銀行間の取引にはなかった新しい存在であり、大学や企業、リップルなど、さまざまな機関によって運用されている公平な存在です。

次の章では、xCurrentが実際にどのように活用されているかを見ていきましょう。

リップルのxCurrentは、多くの銀行や金融機関に導入(※)されています。

※この記事では次の3つをまとめて「導入」と読んでいます。

  • 実用化に向けて検討が始まっている
  • 実用化に向けた実証実験が始まっている
  • 実際に実用化されている

2018年7月時点では、多くの金融機関が検討中、あるいは実証実験を行なっている段階です。

リップル公式では、xCurrentの導入数は公表されていませんが、xCurrentを使っていると考えられるものはすでに100を超えています。

リップルのxCurrent活用例を、以下の3つの企業に分けて見ていきましょう。

  1. 中央銀行
  2. 銀行(中央銀行以外)
  3. 内外為替一元化コンソーシアム(SBIホールディングス主導の、日本の複数の銀行連盟)

中央銀行は、その国の金融システムのトレンドをつくる重要な機関です。

金融システムが中央銀行に導入されるということは、その国全体にシステムが普及する可能性が高いと言えます。

xCurrentを導入している中央銀行には、次のようなところがあります。

  • the Bank of England(イングランド銀行)
  • Saudi Arabian Monetary Authority (SAMA) (サウジアラビア金融局)

この2つの中央銀行とリップルの関係についてご紹介します。

the Bank of England(イングランド銀行)

イングランド銀行では2017年3月、同行のフィンテックの活用を検討する活動で、リップルのPoC(※)が実験対象の一つとして選ばれました。

PoCはxCurrentそのものではありませんが、リップルの基盤となる技術を使っているという点で、類似した活用事例と言えます。

PoC(Proof of Consensus:プルーフ・オブ・コンセンサス)とは
リップルで使われているコンセンサス・アルゴリズムで、分散型台帳にどの台帳を記録するかを判断するための仕組みです。

そして2017年7月に、イングランド銀行は同行の次世代のリアルタイム国際取引(RTGS:real-time gross settlement system)の未来計画のなかで、PoCをはじめとしたリップルのソリューションが有用であることを述べました。

この計画は、今後のイングランドの支払いシステムのバックボーンとなる重要なもので、その中でリップルが評価されたことは価値があると言えるでしょう。

Saudi Arabian Monetary Authority (SAMA) (サウジアラビア金融局)

サウジアラビア金融局は2018年2月、同国内の銀行が支払いインフラ(基盤)にリップルのxCurrentを使うことに合意しました。

これは中央銀行の事例としては世界で初めてのことで、大きなニュースとなっています。

サウジアラビアの銀行は、今後国内外へ向けた送金にxCurrentを活用し、送金速度の向上とコスト削減を図る予定です。

リップルのxCurrentは、中央銀行以外の銀行にも多数導入されています。

xCurrentを導入している大手銀行/金融機関の一部には、次のようなところがあります。

  • 三菱UFJグループ(日本)
  • Santander UK(スペイン、イギリス)
  • Kotak Mahindra Bank、Axis Bank、IndusInd Bank(インド)

それぞれの銀行について、活用例を簡単にご紹介します。

三菱UFJグループ(日本)

日本のメガバンクである三菱UFJグループは、2018年5月にリップルのxCurrentを使った実証実験を行うことを発表しました。

同グループのタイの子会社であるアユタヤ銀行、そしてと香港のStandard Chartered銀行と協力して、xCurrentを活用したシンガポール=タイ間の国際送金の実験を予定しています。

Santander UK(スペイン、イギリス)

スペインに本拠地を置く、世界的な大手銀行Santanderグループは2018年4月、リップルのxCurrentをベースとしたモバイル決済アプリ「Santander One Pay FX」を発表しました。

このアプリでは、ユーロ圏とアメリカに対して、ユーロとUSDを使った国際決済サービスを提供します。

このほか、すでに同グループはリップルを使った国際送金サービスをスペイン、ブラジル、ポーランドで提供しています。

Kotak Mahindra Bank、Axis Bank、IndusInd Bank(インド)

インドの大手プライベート銀行「Kotak Mahindra Bank」は2018年6月、国内向けの送金にxCurrentを使う予定であることを発表しました。

ゆくゆくは国際送金にも、活用の幅を広げていくとのことです。

インドではこのほか、主要な銀行である「Axis Bank」も2017年11月にリップルのxCurrentを導入しており、2018年2月には「IndusInd Bank」もRippleNetへ参加しています。

ここでご紹介した銀行は世界のほんの一例ですが、他にも多くの銀行がRippleNetへ加入し、xCurrentの導入を検討しています。

これまでご紹介してきた銀行のほか、xCurrentを導入している機関として、日本の「内外為替一元化コンソーシアム」という団体があります。

内外為替一元化コンソーシアムは、SBIグループを筆頭に日本の約60の銀行が参加しており、分散型台帳技術を用いた次世代の送金システムを検討する活動を行なっています。

2018年にはリップルのxCurrentをベースとしたモバイル決済アプリ「Money Tap」の発表を行うなど、日本の銀行での分散型台帳技術の活動を先導していると言えるでしょう。

内外為替一元化コンソーシアムをはじめ、リップルがどのような銀行に採用されているかについて詳しく知りたい方は、以下の「リップル(Ripple)と銀行の関係性まとめ」の記事をご覧ください。

リップルのxCurrentについて、概要や詳しい仕組み、そして実際の活用事例について紹介してきました。

xCurrentについて、大切な点を以下にまとめます。

  • リップルのxCurrentは銀行向けのリアルタイム国際送金システム
    xCurrentは世界をつなぐ送金ネットワーク(RippleNet)を通じて、世界中の金融機関とメッセージを送り合うことができる

  • xCurrentは低コストで迅速な国際送金を可能にする

  • xCurrentには、4つの階層にわかれている
    xCurrentは、メッセージを送受信する「メッセンジャー」、銀行の台帳同士を接続する「ILPレジャー」、FXレートの送信などを行う「FXティッカー」、そして支払いの成功の可否を検証する「バリデータ」の4つの層で構成されている

  • xCurrentは世界の銀行で活用されはじめている
    中央銀行や、大手銀行である三菱UFJグループ、そして日本の約60の銀行が加入する内外為替一元化コンソーシアムなどで、xCurrentが活用(または検討)されている。

リップルのxCurrentは世界中の銀行に導入されることを目標としており、現段階では着実にその目標に向かっていると言えるでしょう。

今後、新しい銀行との提携情報が出た場合、リップル公式サイトで発表される予定です。

気になる方は、公式サイトも合わせてチェックしてみてはいかがでしょうか。